先天性心疾患について
先天性心疾患、この言葉を聞けば「生まれつきの心臓の病気」といったイメージはお持ちになれるかと思います。
先天性心疾患は、生まれつき心臓や血管の形に異常がある病気のことで、例えば生まれつき心臓の右と左を隔てている壁に穴があいていたり、弁が狭く血液の通りが悪くなっていたり、四つあるはずの心臓の部屋が二つしかなかったり。これらはごくまれに見られる非常に珍しい病気と思われる方が多いかと思いますが、小さな問題まで含めれば赤ちゃんの100人に1人の割合で発症している、実は比較的頻度の高い病気です。
先天性心疾患の例
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、房室中隔欠損症、部分肺静脈還流異常症、ファロー四徴症、両大血管右室起始症、大血管転位症、肺動脈狭窄・閉鎖症、総動脈幹症、総肺静脈還流異常症、三尖弁閉鎖症、単心室症、エプスタイン奇形、左心低形成症候群、修正大血管転位症、大動脈縮窄・離断症 など
専門医の立場から代表的と思える病名を挙げてみましたが、皆さまがよく耳にされるような病名はほとんどないと思います。大切なことは、堅苦しい病名に恐怖心を抱くことではなく、その可能性を決して見逃さないこと、また万が一の場合には、お子さまと保護者の方、そして専門医が協力して病気の治療・コントロールを行うことです。
先天性心疾患の原因
赤ちゃんの心臓は、お母さんお腹の中で複雑な過程を経て形成されます。先天性心疾患は、心臓が完成した後に異常をきたすわけではなく、完成前にその過程が止まってしまったり、違った向きで作られてしまったりすることが原因で、心臓や血管の形に異常が生じることになります。また、赤ちゃんがお腹にいる時に服用したお薬や、風疹などのウイルスに感染したりすることでも、先天性心疾患を発症することがあるなど、先天性心疾患の原因は様々です。
近年の医療の進歩は目覚ましく、先天性心疾患を持って生まれたお子さんも約90%以上が成人に達することができるようになっています。
そのためにも、先天性心疾患が疑われる症状を決して見逃さず、いち早い診断と慎重な治療方針の決定が非常に重要となります。そして当クリニックには、「心臓」「お子さま」の専門家が揃い、心電図、胸部レントゲン、心エコー検査(超音波検査)を適切に実施できる環境が整っております。
- 見逃したくないお子さまの症状
- 体重があまり増えない
- おっぱいをあまり飲んでくれない
- 呼吸や脈が速いと感じる
- 顔色が悪い
- 元気がない、よく汗をかく
先天性心疾患の治療について
先天性心疾患は、軽症であれば経過観察で済む場合もありますが、外科手術やカテーテル治療が必要となることも多くあります。
当クリニックに手術設備はありませんが、必要な設備・環境の整った大学病院などへ、これまでに築き上げてきたネットワークを活かしたご紹介を行うことでできますので、ご安心ください。
当クリニックで病気を診断、大学病院などへご紹介、その後の経過観察やコントロールを再び当クリニックで、心臓・お子さま、全てを網羅した当クリニックにお任せください。
先天性心疾患に限ったことではありませんが、心臓の病気は一生付き合っていくことも多いので、大人になってからの経過観察も重要です。定期的に通院していただくことで、専門医の管理の下に生活していけば、健常な方と同じように長生きできる患者さんが多いのです。お子さまに限らず、子供の頃に先天性心疾患の治療をした患者さんも、少しでも心配なことがあれば当クリニックへお越しください。
無理せずゆっくり、皆さまのペースで安心して暮らしていただけるよう、当クリニックがしっかりサポートいたします。